今の時代に採用してはいけない評価方法の5つ目は、
評価期間が長すぎる事
です。
大手企業に見られがちなのですが、評価期間が
『半年以上から1年』と、長期間の場合、
中小企業の人事評価制度は
うまく機能しません。
大企業と中小企業は、ビジネスのスタイルが全然違います。
大企業のビジネス戦略は、基本的に“薄利多売”です。
大きな工場を持ち、大量に生産し、中小企業では
マネのできない安さで売ります。
違う言い方をすれば、小回りは利かず、
「これだ!」と決めた戦略で
グイグイ押してきます。
ですから、社員の評価期間は半年から1年であっても、
大企業の方針はそうそう変わるものではないので、
これで機能する面があるのです。
しかし、中小企業は違います。
大企業のように、製品を大量に作れず、
そして“安さ”を武器にできません。
有名人を起用して、テレビコマーシャルを
作る事もできません。
その代わり、規模が小さいからこそできる、
“小回りを活かす”という戦法が取れます。
極端な表現ですが、ヒット商品が出るまで、
手を替え品を替え、新しい挑戦をする事が
可能です。
そのためには、評価期間が
“半年以上”では長すぎるのです。
半年前に評価項目になっていた仕事は、
すでに事業自体が撤退している事も意外と多く、
「評価のしようがないのですが……」
という困った事態が起きるのです。
それを防ぐためにも、経験的には評価期間は
“3~4か月”
が適切だと思います。
長くする場合でも、
“半年以内”にする事をお勧めします。
しかし、
「評価期間が3か月だと、大きな戦略が描けないのでは?」
と、懸念される社長さんもいらっしゃいます。
それについては、私はこうお答えしています。
大きな戦略を決められるのは、
“社長を中心とした、ごく一部の経営層のみ”
です。
それ以外の社員は、経営層が決めた戦略を、
「どうしたら実現できるか?」
と、現場で頑張るのが役割です。
社員から現場の情報を収集する事は大事です。
しかし、5年、10年先の戦略を決めるのは、
経営責任者であるトップしかいないのです。