今回も猛省キリギリスの11話(カメムシの話)をお読みいただき、
ありがとうございます。
このページでは、11話についてのおまけ話をしたいと思います。
■カメムシのニオイ
今回、『キリ助がカメムシのニオイで気を失う』という展開で物語を進めました。
「そんな大げさな!」と思うかたもいらっしゃったかもしれませんが、 事実、カメムシはニオイで虫を殺すことができます。
↓ 強烈なニオイのため、嫌われることが多いカメムシ
小学生のころ、下校途中にカメムシをラムネ菓子のプラスチック容器に たくさん入れて持ち帰ったことがあります。
家に帰り容器のふたを開けると、脳を何かが貫通したような衝撃的なニオイがしました。 次いで、動かなくなってしまった無数のカメムシたちがゴロゴロと出てきたのです。
何匹かは復活したのですが、多くはそのまま逝ってしまいました。
そのあとも、虫の種類を変えて何度か試したのですが、
アリやバッタなども、カメムシのニオイで倒せることがわかりました。 (子どもは残酷ですね)
ただ、自然環境では、カメムシと密封した容器で一緒になることはないので、 おそらく、「くさっ!」と感じた虫は逃げていくだけで、命までは取られないでしょう。
カメムシは強烈なニオイを、敵を倒すのにも使いますが、
仲間たちのコミュニケーションにも使います。
カメムシが鈴なりにたむろしているのを見たことがありませんか? それは、ニオイでコミュニケーションをとっているからできると言われています。
↓ 鈴なりに群れをつくっているアカスジキンカメムシの子ども
ちなみに、タガメという水に棲む昆虫がいます。
タガメもカメムシの仲間です。
よーく見てみると、『背中の形』、『羽の付き方』、『口の形』が カメムシとそっくりなのがわかります。
↓ タガメの背中
羽の付き方もカメムシとそっくりです
「じゃあ、タガメもニオイがあるんですか?」そんな疑問が単純にわくと思います。 推測の通り、タガメもニオイがあります。
どんなニオイかと言いますと、なんと『洋梨』のニオイです。
市販されている“台湾タガメ”を買ってきて、 羽をむしって内蔵のニオイを嗅いでみましょう。
『どう猛な見た目なのに、フルーティな洋梨の香り』 このギャップは、かなり新鮮だと思います。
ちなみに、台湾タガメは、東京の新大久保にある、アジアスーパーストアで買えます。
↓ アジアスーパーストアの看板
↓ 1パックに3匹入っています
450円なり
■『欠点』は、そのまま長所になる
今回の話では、「欠点は克服する必要はないし、欠点だって 使い方を変えれば長所になります」ということを書きました。
私には、ものすごくたくさん欠点があるのですが、 そのひとつは、『断りベタ』なところです。
どのくらい断りベタかと言いますと、上司から、ほぼ勢いで「マグロ船に乗ってこい!」 と言われ、断れずにマグロ船に乗せられてしまったというほど重症です。
↓ 乗せられたマグロ船
マグロ船に乗せられた8年前の当時、周りの人からはよく、「お前、ある程度
は断れるようにならないと、この先大変だぞ」と、たくさんのアドバイスをされました。
当時は私も、「断れるようにならなきゃ!」と思い、2万円くらいする、
『断れる自分になるためのセミナー』というものに通ったり、それなりの努力はしました。
それでも残念ながら、断る力はあまり鍛えられず、毎月、ほしいとは思っていない
栄養補助食品が毎月家に届くのを見るたび、「自分はなんてダメなんだろう……」と
自信をなくしていました。
しかし振り返ってみれば、断れないおかげで色々な人と知り合え、
また、色々な経験もできるというメリットがありました。
おまけに、断れないからこそ、『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』
(毎日コミュニケーションズ)という、(出版社にとっても意外な)ベストセラーを出す
ことができた上、多くの方から、「笑えた上、勉強になった」というメールをたくさん
いただけたと思うのです。
何が言いたいかというと、自分で欠点だと気にしている部分は、実は、 『多くの人がマネできない才能を持っている』ということと同じなのです。
『欠点』というのは、自分にある才能の使い方を、 少し間違っていたから、欠点に見えただけです。
結果オーライな話ですが、私の場合は『断れない』という欠点を直さず、
『人よりも多くのことが体験できる才能』に置き換えてうまくいきました。
『断れない』という欠点は、まったく直していません。
すべての長所は短所の裏返しです。
たとえば、『正義感が強い』という長所を持つ人は、たいがい 『ケンカっ早い』という短所を同時に持っていると思うのです。
つまり、自分の欠点を改善すれば、それはそれで新しい短所が生まれてしまうのです。 だからきっと、あなたという人間は『今のままでパーフェクトな状態』なのだと思います。
何かうまくいっていないというのは、きっと自分の使い方に、 ちょっと慣れていないだけだと思うのです。
繰り返すようですが、私の断りベタを、自信をなくすような短所に捉えれば、 『理不尽な命令でマグロ船に乗せられてしまうほど気弱な人間』という風になります。
しかし、断りベタを長所に捉えれば、『誰も経験できないような、
幅広い経験ができて、それがいつか人の役に立つ』という風になります。
要はひとつのことを、『良く見るか、悪く見るか』の違いだけでしかないのです。
■“身体的なハンデ”も長所として活かせる
今回、体から発するニオイにコンプレックスを持つカメムシを登場させました。 これを人間に当てはめたとき、読者の中には、差別的に感じた方もいたかもしれません。
ただ悲しいことですが、現実として、“身体的な特徴”は、仲間はずれや、
いわれもない差別を生む原因になりがちです。
そうした差別を受けて、カメムシの亀吉のように、
自分に自信をなくす人も大勢いると思うのです。
かくいう私も、生まれつき首や足の筋肉が短い病気(特徴)を持っています。 首に関しては手術をしているため、だいぶ曲がるのですが、足は今でもあまり曲がりません。
おまけに、“溶血性貧血”という、いかにもヤバそうな名前の血液疾患を持っており、 年中無休で(軽い)貧血を起こしている虚弱体質です。
体に負担をかけてしまうと赤血球が一気に壊れて貧血になるので、 徹夜など、体力勝負の仕事はほとんどできません。
こんな体のため、子どものころから運動は苦手で、体育の成績も最低の評価でした。
学生時代、体育の成績が悪いというのは、からかわれる対象になりがちです。 私も中学卒業までは、だいぶからかわれました。
腕っぷしも弱いので、ムカッときてもそれを表情にすら
出せなかったことを今でもよく覚えています。
しかし、そんな弱い体のおかげで、肉体労働や長時間労働が
できないことは、昔から理解していました。
ですから普通の人よりも、「自分にしかできない仕事をして、競争に
巻き込まれないようにしなくては!」という焦りが、私にとっていい刺激になりました。
そのおかげもあって、猛省キリギリスという、「虫」と「生き方」をミックスした、 他に競争相手(似た本)がいない読み物をつくることができたと思うのです。
もちろん、拙著「会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ」(毎日コミュニ
ケーションズ) という、『マグロ船に乗せられたときの経験をビジネス書にする』という、
普通ではありえない 発想の本も、「競争相手がいないことをしなければ!」という
昔からの危機感が 形になったと思っています。
繰り返しになりますが、私は、「背が小さい」・「ハゲている」・「顔が悪い」といった、
一般的に卑屈になってしまいがちな身体的な特徴も、すべて自分のオリジナリティを
生み出すチャンスだと思っています。
ここでひとつ、私などよりもはるかに大きな身体的ハンデを背負っていた、 中村久子さんのことをご紹介したいと思います。
中村久子さんは明治生まれで、幼い頃、病気で両手足を切断しています。
今の時代では考えられないのですが、20歳のときは、『だるま娘』という芸名で、
見せ物小屋で働き、精神的にも肉体的にも大変な経験をされています。
そんな中村久子さんは後年、次のような驚くべき詩を書かれています。
(中村久子女史顕彰会事務局ホームページより)
http://www.nakamura-hisako.co.jp/1profile.htm
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ある ある ある
さわやかな秋の朝
「タオル取ってちょうだい」
「おーい」と答える良人がある
「ハーイ」という娘がおる
歯をみがく
義歯の取り外し かおを洗う
短いけれど指のない
まるいつよい手が 何でもしてくれる
断端に骨のない やわらかい腕もある
何でもしてくれる 短い手もある
ある ある ある
みんなある
さわやかな秋の朝
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この詩のように、五体不満足で苦労された中村久子さんは、 それでもなお「みんなある」と言いきっておられます。
それに比べると、何かにつけ、「あれがない、これがない」と いつも言い訳をしたくなる自分が恥ずかしくなります。
思えば偉人と言われる人の多くも、差別や理不尽な思いをされた憤りが高じて、 自分の使命を見つけています。
有名なところでは、二宮金次郎もそのひとりだと思います。
二宮金次郎は、貧乏な農家で育ったため、父親、母親が過労死し、 弟までもが死んでしまいます。
そんな想像もできないような悲しみや悔しさがあったから、後年、どんな飢饉がきても 餓死者を出さない村をつくった、信念のある指導者になれたのでしょう。
↓ 二宮家の墓(神奈川県小田原市)
人から責められる欠点があったり、いわれのない理不尽な体験をされているというのは、 きっと、自分だけが実らせることができる果実のタネを持っているのと同じだと思います。
今はまだつらいときかもしれませんが、それがいつか、あなたとあなたの周りの人を
幸せにする経験となるのを心より祈ります。
■参考図書
楽しい昆虫料理 内山 昭一 ビジネス社
中村久子女史顕彰会事務局ホームページ
http://www.nakamura-hisako.co.jp/1profile.htm
二宮 金次郎 松山 市造 ポプラ社文庫
小説 二宮金次郎 (上) 童門 冬二 学陽書房
小説 二宮金次郎 (下) 童門 冬二 学陽書房